学校法人金沢工業大学の革新複合材料研究開発センター(以下、ICC)は、世界有数の応用研究機関であるフラウンホーファー研究機構の鋳造・複合材料・プロセス技術研究所(IGCV)と共同で研究開発・事業化拠点をICC内に立ち上げることを決めた。
フラウンホーファーIGCVは、炭素繊維複合材料を主な研究対象の1つとする研究所。日本国内で研究開発拠点を立ち上げるのはICCが初めてとなる。設立する研究施設では、「リサイクル炭素繊維複合材料を活用した製造技術と適用技術」をテーマに研究開発と技術移転・事業化を目指し活動していく。
GX(グリーントランスフォーメーション)の取組みが世界中で行われている。100mを超える長尺の風力発電用ブレードや燃料電池車の水素貯蔵タンクは炭素繊維複合材料で実現できるが、炭素繊維複合材料の市場が飛躍的に成長している欧米や中国に比べ、日本国内は新規開発が少なく、市場の成長がみられないのが現状。さらに、SDGsの目標の1つでもある「つくる責任 つかう責任」が製造者・消費者双方で求められる今日、リサイクルも含めた産業構造でなければ事業化は見込めない状況となっている。
今回の計画ではICCに研究ユニットを設置し、リサイクル炭素繊維複合材料の研究開発・技術移転・事業化に向けたone-stop-shopの研究開発拠点として、常駐するフラウンホーファーの研究員とともに石川県内外の企業における炭素繊維複合材料事業の成長に貢献していく。