旭化成は、電気自動車(EV)向けに開発した耐炎性・耐ブラスト性を備えた耐炎化繊維素材“ラスタン”において10月1日より、“TSシリーズ”を新たにラインアップに加えて販売を開始する。特殊アクリル繊維を原料とした通常グレードのラスタンに特殊な難燃剤を添加することにより、高い限界酸素指数(LOI値)や優れた加工性などの従来品の強みを保持しながら、耐炎性や耐ブラスト性を向上させた製品。これにより、EVバッテリーが熱暴走した際に温度上昇や延焼を抑制し、EVの安全性能向上に貢献する。
表面に1300℃の炎を当てても、シート裏側の温度を400℃以下に保つ断炎性をもつ。また、一般的にLOI値が27以上であれば難燃性を有しているとされるなか、TSシリーズはLOI値が50以上と非常に高い難燃性を有する。きわめて高い難燃性をもつため、材料の燃えにくさの度合いを表す指標である難燃性UL94規格では最高レベルの5VAを取得。また、この素材は、1分間1300℃の炎にさらされ、200μ~500μの粒子の高圧衝撃を受けても穴が開かない高い耐炎性と耐ブラスト性を備えている。1mmの厚さで最大3.5kVの絶縁性能をもち、電気的安全性も確保している。ラスタンは最薄0.8mmの薄さで高性能を維持しながら、柔軟性にも優れており、はさみで簡単に切断できることから鉱物系の素材に対して加工面で優位性があり、製造工程の簡素化にも寄与する。日本国内で一貫生産を確立している製品。今後は米国などでの現地生産も視野に入れており、これにより素材供給のサプライチェーンの透明化を一層推進し、グローバルな市場においても信頼性の高い供給体制を構築していく。