前田工繊は6月26日開催の取締役会において、三井化学より同社の子会社で土木・建築資材を手がける三井化学産資(東京都文京区)の全株式を取得することを決議し、株式譲渡契約を締結した。三井化学産資を子会社とすることにより、土木資材分野での製品ラインアップ拡充と事業規模の拡大・強化を図る。2025年4月1日に同社の全株式を取得する。取得額は56億1,000万円の見込み。
三井化学産資は1964年の創立以来、三井化学グループの材料と技術を活かした製品・システムを提供し、総合産業資材会社として展開。建築・土木資材および配管資材の分野で高いシェアをもつ製品を有しており、産業資材メーカーとして確固たる地位を築いている。2024年3月期の売上高は90億円、営業利益は1億6,100万円であった。国内産業資材市場の成熟化や昨今の原料価格高騰など厳しい事業環境を踏まえ、土木資材を中心に産業資材市場において強固な事業基盤をもつ前田工繊の100%子会社になることにより、新たな企業価値の向上が期待できるとし、今回の契約締結に至った。
一方、前田工繊は、三井化学産資の事業と自社のソーシャルインフラ事業はともにインフラの整備・維持に携わる事業であり親和性が高いと考えたほか、今回の株式取得により、土木資材分野における製品ラインアップの拡充および事業規模の拡大を図ることで、既存事業の強化が可能となる。また、点字タイルなどの新たな製品を獲得できるほか、配管資材分野に取り組むことで新規事業領域の拡大も可能となる。さらに、三井化学産資は、樹脂加工の高い技術を有していることから、自社の繊維・樹脂加工技術とのシナジーを発揮することで新たな価値を生み出し、更なる企業価値向上が期待できると考え、契約締結に至った。