三洋化成工業は、ポリオレフィン不織布などに持続的な親水性を付与することが可能な不織布用耐久性親水剤“ハイドロスルー PS─887”を開発した。不織布に使用すると、繰り返し透水しても高い親水性を維持できるようになる。紙おむつや生理用品などの衛生材料に用いると、頻繁に取り換える必要がなくなることから使い勝手や満足度の向上や、経済的で廃棄物量の削減など、環境負荷の低減を実現する。また、植物由来の原料を使用しているので、宗教上の理由で動物由来原料を好まないユーザーにも提供が可能となる。
同社が得意とする界面制御技術を活用し、ポリオレフィン不織布の透水性を高める親水基と、耐久性を高める疎水基の最適なバランスを見出すことで開発に成功した。繊維への浸透性に優れ、少量でも均一に付着する。ポリオレフィン不織布の特長である柔軟性を損なうことがない。従来の親水化剤と比較して、透水を3回繰り返した後でもポリオレフィン不織布は高い親水性を維持するので、衛生用品のトップシートに使用した場合、交換頻度を減らすことができ、装着感を損なうことなく快適に使用することができる。これにより育児や介護者の負担を軽減し、使用する衛生用品の数を減らせることで、経済的な負担や廃棄物量の低減にも貢献する。
こうした特徴から、衛生用品用に使用される不織布の親水化処理だけでなく、農業用シートや、農業用不織布ポット、土木用ネットなどへの用途展開も模索。ポリオレフィンだけでなく、ポリエステル繊維など、他の疎水性不織布にも適用することができ、親水性の付与にともない不織布の吸水性が向上したり、表面に水分子が吸着することで静電気防止性が向上することも期待できることから、さまざまな用途開拓を進める。