EDANA(欧州不織布工業会)は4月18~21の3日間、スイス・ジュネーブのパレクスポ見本市会場で「INDEX 23」を開催した。
INDEXは欧州において3年に1度開催される国際的な不織布産業総合展で、今回は43ヵ国から610の企業・団体が出展、5万m2 を超える展示面積にさまざまな不織布関連の製品が展示された。前回2000年に予定していた「INDEX20」はパンデミックの影響を受け開催困難となったため、延期して21年10月の開催としたが、それに比べ今回の展示規模は大幅に拡大、コロナ禍収束の下で不織布業界全体が通常の事業活動のレベルに戻ったことを明確に示す恰好となった。入場者数も増加し100ヵ国以上から1万2、017 人が来場、欧州不織布産業における今後の積極的な事業展開を予感させる盛り上がりを見せつつ、成功裏に閉幕となった。
ちなみに、欧米の主要な不織布企業および関連企業のほか、アジアからも中国、台湾、インド、韓国などが参加、日本からは日本不織布協会をはじめ、旭化成、日本フイルコン、カネカ、化繊ノズル、MMCリョウテック、帝人フロンティア、東レ、瑞光などが出展した。
また、同展開催中には出展製品のプレゼンテーションやINDEXセミナー、不織布チュートリアルなども併催された。ほかにも、毎回、不織布業界や関連産業において“卓越性”が認められた製品を選んでINDEXアワードが開期中に授与されるが、今回は以下の企業の製品が対象となった。
① 不織布ロール品
スオミネン(Suominen)社“Hydraspun Circula ”:再生紙とバージン・セルロース繊維を使用して製造された市場初の不織布。廃棄物を不織布の原材料に使うことは品質・衛生性の問題から限界があったが、同製品はイノベーションの成功例として際立っている。
② 不織布製品・不織布加工品:ヘンケル(Henkel)社“スマートアダルトケア”
従来のおむつをスマートなコネクテッド医療機器に変える。患者中心のケアとスマートな衛生サービスを実現する将来へ向けて重要な第一歩となる。軽量なフレキシブル&プリンテッド・センサーと再利用できる着脱式おむつは、水分や動作、温度をリモートで監視できる。これは、ヘンケル社のIoTパートナーであるスマルツ社(Smartz AG)と協力して開発したもの。
③ 不織布関連の原材料:ファイバーパートナー(Fiberpartner)社“BicoBio”
二酸化炭素排出量の少ない材料から開発された、芯鞘複合繊維構造の将来的な素材。最終的に埋め立て地や海中の環境で生分解するように設計されている。 この繊維はさまざまな不織布技術で加工でき、各種用途で使える。
④ 不織布関連機器の革新:カート・G・ジョア(Curt G. Joa)社“ESC─8TM”
電子式サイズ変更ユニットは、従来利用できなかった押しボタンによる製品切替技術を提供する。これはインラインでの製品切替と柔軟性のある独自の方法とプロセスを特徴とする。例えば同ユニット内の各吸収性インサート・キャリッジは独立して制御および検査され、比類のないプロセスの柔軟性とユーザー制御を実現する。
⑤ サステナブル製品:スパークル・イノベーション(Sparkle Innovations)社“SugaFluff”
木材ではなく非木材のバガスから作られており、サステナブルで費用対効果も高く、高機能性で吸収性衛生用品向けのフラッフパルプを代替する。サトウキビのバガスは砂糖産業で多量に発生する廃棄物(副産物)のため、バガス栽培のための土地も必要としない。この製品は③のカテゴリーでもファイナリストに残るなど、サステナビリティの優れた点が評価された。
なお、次回の「INDEX26」は通常どおり3年後の2026年4月21~24日に開催される予定。