前田工繊は格付投資情報センター(R&I)より取得している発行体格付について、これまでの「BBB+」(ポジティブ)から「A-」(安定的)へ格付変更が行われたと報告した。
格付投資情報センターによると、土木・環境資材を中心とするソーシャルインフラ事業と、高価格帯に強いBBSブランドの軽合金鍛造ホイールが柱のインダストリーインフラ事業を展開する前田工繊は、複数のM&A(合併・買収)やBBSでの設備投資の成果により収益成長が続いていることから、発行体格付をBBB+からA-に変更することにしたと説明した。主力事業は軽合金鍛造ホイールを含めニッチ市場で差別化された製品を手掛けており、土木・環境資材は繊維加工や樹脂成形技術を組み合わせた製品のラインアップが幅広い。全国に構える営業拠点から顧客ニーズの収集や工法提案、施工指導を行い、土木や港湾、河川など幅広い需要を開拓している。M&Aで得た子会社の手掛ける獣害対策製品や魚油、合成木材などの事業は、規模は小さいものの競争力があり、収益源の分散効果を高めている。2025年6月期中に子会社化する三井化学産資は採算改善が課題だが、PMI(買収後の組織統合)による生産性の向上で中期的に収益性を向上させるとみた。また、原材料価格が高騰する局面でも価格転嫁やコストダウンによって迅速に対応。収益の安定性が比較的高く、良好な収益力を維持していけるとみている。積極的にM&A戦略を推進しているほか、BBSで大型の設備投資を計画しているが、債務負担は重くない。ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の転換もあり、債務償還年数や財務構成は格付対比で十分な水準を維持して行けるものと見たことから格上げに至った。