田中はJICA(独立行政法人国際協力機構)による中小企業・SDGsビジネス支援事業(「カンボジア国降雨浸透水による道路陥没防止のための排水シート導入ビジネス化実証事業」)の一環として実施した“ジオストリーム”の試験施工について7月19日、同国カウンターパートであるMPWT(カンボジア国公共事業運輸省:日本の国土交通省に相当)職員に対するモニタリング結果概要を発表するためセミナーを開催し、その内容を報告した。
カンボジアでは雨期後の道路の損傷が激しく、物流に多大な影響を及ぼしているが、対応できる適切な技術をもっていない。ジオストリームは、排水機能をもつ2層もしくは3層の土木用複合資材で、堤防型道路の法面や法肩に敷設することにより降雨の土壌への浸透を防ぎ、道路陥没・崩壊の抑制に貢献する。
今年2月、同事業の一環として田中はMPWTの全面的な協力のもと、同国国道3ヵ所において排水シート“ジオストリーム”を使った道路補修工事の試験施工を実施。同年3月、5月に実施したモニタリング調査(㈱愛亀に委託)の結果、施工箇所の地盤支持力が保持されていることが認められ、また雨季にあたる同7月の視察では降雨時のジオストリームの排水効果を確認した。
セミナーはMPWT内の講堂において、技術部門幹部を始めMPWT本省および地方組織の職員60名、ウェブ参加8名、合計68名が参加し聴講。参加者からは多くの質問もあり、ジオストリームに高い興味を示している様子が窺えた。田中は今後も試験施工のモニタリングを継続し技術的評価を行うとともに、ジオストリームを使用した道路補修工法を同国における標準工法としてリストに掲載してもらうことで、同工法が広く同国で普及し活用されることを目指している。
カンボジアでは、こうした道路・河川・港湾など土木分野で活用されるジオシンセティックス(土木用プラスチック/繊維製複合資材)の普及が進んでいないことから、田中は自社の実績とノウハウをもとに同国でのインフラ強靭化にも資するものとして今後も同国での各種活動を継続していきたいとしている。