東洋紡エムシーは、同社の三層構造型網状繊維構造体“ブレスエアー”が、一般社団法人繊維学会の第50回(令和5年)「繊維学会技術賞」を受賞し、6月13日に開催された2024年度繊維学会年次大会(創立80周年記念)で授与式が行われ、受賞者による受賞講演が行われたことを発表した。
受賞内容は、『三層構造型網状繊維構造体“ブレスエアー”の開発』。受賞者は、東洋紡エムシーの谷中輝之氏、金子幸生氏、井上拓勇氏、竹森慶博氏の4名。繊維学会技術賞は、一般社団法人繊維学会が主催するもので、繊維に関する技術について優秀な研究、発明または開発を行い、繊維工業の発展に貢献した同学会の会員を表彰するもの。
ブレスエアーは、熱可塑性ポリエステル系エラストマー“ペルプレン”を繊維状にして、立体的に接合した三次元網状繊維構造体。今回受賞した三層構造型は、直径が異なる繊維を層状に分布させることで、網状繊維構造体のみで、ソフト感とサポート感を両立させることに成功した。具体的には、上から厚み方向に繊維径が細い中実繊維による「フィット層」、中実繊維と中空繊維が混在する「リレー層」、繊維径が太い中空繊維を使用した「サポート層」で構成。この特殊な三層構造を適切にデザインすることによって、「柔らかさ」「底付き感の低減」「耐久性」を実現した。異素材を使用しないモノマテリアル構成のため、リサイクルが容易。この三層構造型網状繊維構造体であるブレスエアーは、その快適性と環境配慮型設計が評価され、高級布団の中材や複数の鉄道車両の座席シートに採用されている。