金井重要工業は、2025年に開催される「大阪・関西万博」の大阪ヘルスケアパビリオン内への出展がこのほど正式に決定した。同社は昨夏より、公益財団法人大阪産業局が実施するリボーンチャレンジに参加し、大阪産業局の支援を受けながら大阪・関西万博への出展を目指していたところ、今年3月25日にマイドームおおさかで行われた「展示・出展ゾーン出展企業発表会」において出展企業として正式に選出されたことから出展が決定したもの。2025年7月8日から14日までの1週間、出展を行う。
同社が出品するのは、がんの放射線治療に使用される“不織布スペーサ”。がん腫瘍と正常な臓器の間に留置することにより、治療用の放射線が正常臓器にまで届いてしまうのを防ぎ、がん腫瘍に対し強い放射線を照射することを可能にするもの。縫合糸として使用される生体吸収性樹脂を原料としているので、術後に体内で徐々に分解され消失することから、放射線治療完了後にスペーサを抜き取る手術を省略できることもメリットとなる。難しいとされたがん治療を可能にし、取り出すための開腹手術を省略できるので、患者の身体への負担も軽減することができる。万博では、不織布スペーサの存在や役割を視覚的・直感的な手法で表現することにより、さまざまな国々や幅広い年代層に対しアピールしていきたいとしている。
リボーンチャレンジは、大阪府市が中心となり、大阪の中小企業やスタートアップの2025年大阪・関西万博への参加を目的に、優れた中小企業・スタートアップを発掘しながら、大阪ヘルスケアパビリオンでのその象徴的な成果等を効果的に発信できるよう、万博会期中だけでなく準備期間や開催後も視野に入れた支援事業企画のこと。26件の事業企画案がリボーンチャレンジとして発表されており、万博期間中(26週間)はリボーンチャレンジ毎に展示企画が毎週入れ替わる形で運営されていく。金井重要工業が参加しているリボーンチャレンジは、「国境・垣根・時代・カベ、あらゆる境界(ボーダー)を越える」をコンセプトとしている。大阪のものづくり企業の技術や製品を大阪・関西万博の場で世界に向けて発信し、この展示を契機に、さらなる技術力の向上や新たな製品の創出を活発化させ、過去から未来への懸け橋や技術開発の原動力となるような展示をめざしている。