花王は2019年にスキンケア領域での事業展開を表明した「ファインファイバーテクノロジー」を活用し、極薄ヴェールを肌にまとう、着る角層ケアという新たな発想の、乾燥性敏感肌の人に特化したスキンケア商品をこのほど上市した。
発売を開始したのは、“キュレル 着る角層ケア<カートリッジ>”(化粧液)と、このカートリッジをセットして極薄ヴェールを肌にふきつけるための専用機器“ヴェールクリエイター”の2製品。パナソニックと共同開発した専用機器を使い、極細繊維を直接肌に吐出。肌上に積層型の極薄ヴェールをつくると、花王が開発した「ブリードアウト技術」により、極細繊維の間から保湿成分が徐々にしみ出し、肌に浸透していくことで肌の保湿力を補う。寝る前に使い翌朝に剥がす、新たなスキンケアを提案。寝ている間、長時間角層に潤いを届け、翌朝にはもっちりとしたハリのあるなめらかな肌に導く。
花王が開発したファインファイバーテクノロジーは、不織布分野でエレクトロスピニング法(ES法)と呼ばれる極細紡糸技術を応用したもの。新製品は、蚕の繭のようにポリマー溶液がノズルを通して糸状に引き伸ばされながら勢いよく噴き出し、肌のうえで幾層にも重なりあって膜を形成する。これによりでき上がった膜は、端面(ふち)に向かって薄くなるため肌に自然になじみ、肌との境目が見えない。また、膜と肌の段差がきわめて少ないことから、はがれにくさも実現する。さらに、サブミクロン繊維がもつ“毛管力”(物体内の狭い隙間が液体を吸い込む力)により、繊維の間に化粧品の製剤をしっかりと保持して離さずにいる一方、折り重なった繊維の隙間から水蒸気は通すので、肌を完全に閉塞することなく適度な透湿性も保つことができるという。