栗田工業は、静岡県浜松市と使用済み紙おむつのリサイクル実現に向けた取組みについて官民連携で包括的に推進するため、浜松市および㈱リサイクルクリーン(静岡県浜松市)との三者で、「使用済み紙おむつリサイクルの推進に関する連携協定書」を締結した。栗田工業は、自社開発した使用済み紙おむつ分別処理装置「クリタサムズシステム」活用の提案や使用済み紙おむつを用いた実証試験の実施を中心に連携し、取組みを推進していく。
浜松市は2022年3月に「浜松市一般廃棄物処理基本計画」を改定し、2028年度までに家庭系・事業系双方のごみ総排出量の削減、資源化率の向上などの目標を設定しており、ごみの減量・資源化に向けた取組みを推進している。そのなかで、同市の使用済み紙おむつの排出割合は、一般由来および事業者由来ともに全体の7%~9%程度(2022年度)と推計され、そのほぼ全量が焼却処分されていることから、使用済み紙おむつの再資源化は課題の1つとなっていた。
クリタサムズシステムは、従来焼却処分されていた使用済み紙おむつを殺菌・洗浄・分解し、プラスチック類とパルプ類に分別することにより再資源化を可能にする。本装置の適用により、廃棄物量や焼却にともなうエネルギー消費量や、CO2排出量の削減を見込むことができる。同市が使用済み紙おむつの再資源化の実現に向けた検討を具体化するなか、省スペースながら高い処理能力をもち、運転回数や設置台数を調整することで処理量の増減に柔軟に対応できる点や、臭気の発生が少なく衛生的である点などが総合的に評価され、今回の協定締結に至った。
こうした取組みは、神奈川県鎌倉市との取組みに続くものであり、栗田工業は、廃棄物処理業者や地方自治体を中心に、本装置を活用した使用済み紙おむつの再資源化を提案・提供していくことで、限りある資源の有効活用と、廃棄物量や、その焼却にともなうエネルギー消費量、CO2排出量の削減を支援することで、循環型経済社会構築への貢献、脱炭素社会実現への貢献を目指したいとしている。