ユニチカトレーディングと、カジュアル衣料品メーカーであるエスビープランニング(東京都渋谷区)は、東南アジアに自生する樹木「カポック」から取れる綿を利用した芯鞘二層構造糸“PALPA×KAPOK”(パルパー×カポック)を共同開発し、紡績から生地・縫製までの一貫したものづくり体制を整えることで2024年秋冬アイテムとして販売を開始していくと発表した。
東南アジアに自生するカポックは、農薬や化学肥料をほとんど使用せずに栽培できるうえ、綿は木の実から取ることができるので、収穫の都度、木を伐採することがなく、また、成長過程で二酸化炭素を吸収し、およそ50年にわたって収穫を続けることができることから、両社は次世代サステナブル素材として注目していた。
カポックから取れる糸は、繊維内が空洞のためコットンの約5分の1と軽く、優れた吸放湿性がもつため、ふんわり軽くやさしい風合いを備えている。繊維長が短く飛散しやすいことからこれまで糸にすることは困難だったが、ユニチカトレーディングは、独自技術である「PALPA」方式を活用し、カポックをコットンで包むことによりカポック繊維の飛散や脱落の軽減に成功し、カポックの高い混用率を可能にした。また、織物のみならず困難であった編地での生産も可能となり、活用できる製品の幅を広げることができた。
今回の取組みでは、インドネシアで収穫したカポックを同国にあるユニチカグループのP.T.UNITEX社で紡績していくが、最終的にはエスビープラニングのサプライチェーンを活用し、インドネシア内での生地・製品を生産する、トレーサビリティに優れた一国完結型のものづくりを目指していく方針。