東洋紡は、グループ会社である東洋紡エムシーの岩国サイト(山口県岩国市)に、画像解析AI技術を応用して西日本旅客鉄道(以下、JR西日本)が開発した“AI検品ソリューション”を導入した。スパンボンド不織布製造ラインの検品工程に導入し、目視作業などを行う検査担当者の作業時間を年間1,000時間以上削減できる見込み。
JR西日本は自社がもつ技術やノウハウを活用し、鉄道の枠を超えてさまざまな社会課題の解決を目指す「アウトバウンド型のオープンイノベーション」を推進している。そうしたなか、東洋紡がスパンボンド不織布の製造ラインで行っている検品工程に着目。これまで多大な労力や時間を要していた、製品の表面上の傷やごみなどの異常を確認する係員の目視作業の負担軽減に役立つと考え、鉄道車両の屋根上機器を検査する「画像解析AI技術」を応用した「AI検品ソリューション」開発のため、2021年より東洋紡と連携して実証実験を進めていた。同技術は、AIによる検品精度の向上に必要な「データ蓄積機能」や「再学習機能」を実装しており、両社は実証実験を通じて異常を判定するAIモデルの改良を重ねた結果、検査担当者による検品作業時間を年間1,000時間以上削減する成果が見込めることを確認したため、今年10月より、スパンボンド不織布の主力生産拠点である東洋紡エムシー岩国サイトで採用することを決めた。
東洋紡は今後、東洋紡グループの他製品の製造ラインにおいても同技術の導入を検討しており、検品工程のさらなる効率化を図りたいとしている。