荏原製作所は、グラフト重合技術を用いたパラジウム担持不織布触媒材料の開発に成功した。
機能性化学品(医薬品など)の合成には反応釜を用いる「バッチ反応」が用いられるが、コスト、安全性、環境負荷低減などの面から反応液を流して処理していく「フロー反応」を用いた連続生産への転換が進んでいる。ただ、不均一系触媒を用いた反応には、粉末状触媒を用いた反応が一般的なものの、フロー反応(連続生産)プロセスでは圧力損失が大きく液体が流れにくくなり、スケールアップが困難となるため、触媒の担持方法や充填方法に対する工夫が求められている。
こうしたニーズを受け、荏原製作所は触媒の担持体として、圧力損失が低く比較的表面積の大きな不織布を選び、放射線グラフト重合技術を用いてパラジウム粒子をナノサイズで不織布に担持させた触媒材料を開発。このパラジウム担持不織布を触媒とした有機化合物の水素化フロー反応を実施したところ、高収率で目的とする水素化生成物が得られることが明らかになった。
同社では今後、開発したパラジウム担持不織布の評価および改良を進めるとともに、量産化の検討を進めていくと同時に、協業可能なパートナーとの提携を模索しつつ、機能性化学品(医薬品など)の生産への適用ならびにフロー反応(連続生産)プロセス技術の発展に寄与していくことを目指していくとしている。