日本製紙クレシアとLasiina(東京都品川区)は、このほど「軽失禁向けフェムテックサービス提供」に向けた協業を開始することで合意した。Lasiinaは、経済産業省が推進する「令和3年度大企業人材等新規事業創造支援事業(出向起業)」への参画をきっかけに、富士通社員が在籍したまま起業したスタートアップ企業。
両社が共同で構築を目指す「軽失禁向けフェムテックサービス」は、日本製紙クレシアの女性用吸水ケア専用品“ポイズ”に軽失禁用センサーを搭載し、Lasiinaが開発した検知デバイスを装着することで、スマートフォン経由で、パッドの吸水量をリアルタイムに監視し、漏れの発生と交換のタイミングをAIが推定し、利用者に知らせるというもの。2023年10月を目途に医療機関向けの実証実験を開始し、早期の製品提供を目指している。
軽失禁(尿モレ)は、男性に比べ尿道が短い女性で起こりやすく、加齢と妊娠出産のため骨盤底筋が緩んで、膀胱を支える力が弱まり尿道が開いてしまうことが主な原因。40歳以上の女性の4割以上が経験しているという(日本製紙クレシア調べ)。尿モレ症状のある人は、漏れる感覚はあっても、「どのくらいの量が漏れているのか」を把握できないため、外出中、つねにトイレが気になる、尿モレが心配で水分摂取を控える、おしゃれが楽しめないなど、日常生活に悩みを抱えているケースが多いとされている。
日本製紙クレシアは、日本で初めてナプキンタイプの吸水ケア専用品“ポイズ”を1994年に発売して以来、尿モレで悩む女性の声に耳を傾け、より良い製品づくりのために日々改良を積み重ねてきた。これまで培ってきた吸水ケア専用品の製造技術を活用し、軽失禁センシングに優れたセンサー搭載パッドを開発することで、この製造技術と販売体制を確立し、フェムテック領域への参入を加速していく。
Lasiinaが開発する軽失禁向けの検知デバイスは、薄手のボトムスでもアウターに響かないように配慮したデザインとなっていて、デバイスの着脱が容易となる設計、尿モレ検知の応答の速さ、分解性を高めることで、外出時の尿モレの不安を軽減して仕事や活動に集中できるようになっている。今後、利用者の症状・パッド交換状況に対応して、適切なタイミングで吸水ケア専用品を自宅に自動的に届けるサブスクリプション型サービスの提供など、女性のライフスタイルを配慮したサービスを開発していく。また、尿モレデータという機微な個人情報(Personal Health Record、以下PHR)を取り扱うためのセキュアなデータ基盤として、富士通が医療分野における診療データや健康データの利活用に向けて提供する新たなクラウド型のプラットフォーム「Healthy Living Platform」を活用する予定。両社は、幅広い年代の女性が抱える軽失禁の悩みに応え、生活の質・QOLの向上に貢献することを目指していきたいとしている。