日清紡テキスタイルは、同社がサーキュラーエコノミー(循環型経済)商品の1つとして検討しているコットン100%製の農業資材“めんです 育苗ポット”の試験販売を3月31日から4月30日までの約1ヵ月間、makuake(https://www.makuake.com/project/nisshinbo_textile/)において実施した。
試験販売した“めんです 育苗ポット”は、コットンの紡績工程で発生する落綿(らくめん)を100%使用した育苗ポット。落綿は、糸にすることができないほど短い綿(わた)であり、リサイクルに不向きだったことから、これまで廃棄物として処理されていた。
同社は、綿に高圧の水流を打ち付け繊維を交絡させることでシート状にするスパンレース不織布製法を得意とする。この技術を用いることで、落綿のような短い綿もサーキュラーエコノミー商品として再利用することができるようにした。
一般的に育苗ポットはプラスチック製の商品が多く、作業時に回収する必要がある。回収せず放置した場合、経年劣化でマイクロプラスチックとなり、環境へ悪影響を及ぼすことになる。これに対し、めんです 育苗ポットは、コットン 100%の生分解性をもつ素材でできていることから、ポットに入れたまま苗を植えても、やがて土に還る。このため、育苗ポットを外して植え替える手間を省くことができ、作業時間の短縮につながる。また、プラスチック製の育苗ポットを使用するとポットの底で根がグルグル巻きになる「根巻き」が生じ、窮屈な環境で根が成長していくことになるが、めんです 育苗ポットはポットを形成する繊維の隙間から根を出すことができるので、育苗ポットを外さずに植えても、植物の成長に影響を与えないなどの特長を同社はアピールしていく。
日清紡テキスタイルは、創業時より天然繊維である「コットン」を中心に衣料分野で事業を展開。これからもコットンを中心とした「サステナブルな繊維事業」で社会や環境により一層貢献を続けていくために、”ECOSELECTION”というブランド商標でサステナブルな商品展開に取り組んでいる。今回、新しい分野として「農業」に着目し、コットン100%の“めんです 育苗ポット”を開発した。農業資材の1つである「育苗ポット」は、野菜や草花の苗づくりには欠かせないアイテム。人間が生きていくために欠かせない農業において、植物の成長過程で使用する資材に「サステナブルな商品を使用する」ことは、美しい環境を維持しながら安心・安全な植物を育てるうえで、とても重要な要素であると同社は考えている。