東レは日本で生産するスエード調人工皮革“Ultrasuede(ウルトラスエード)”の生産能力を増強する。滋賀事業場(滋賀県大津市)と岐阜工場(岐阜県安八郡)で生産設備の増設を行い、現在の年産約1,000万m2から同1,500万m2に高める。稼働開始は2024年後半を予定しており、投資額は約100億円。
ウルトラスエードは、ジャパン・クオリティの最先端ブランドとしてグローバル展開している高感度・高機能なスエード調人工皮革。1970年に滋賀事業場で生産を開始し、直近では2019年に約1.6倍の年産約1,000万m2に生産能力を増強し、現在フル稼働を続けている。品質や、顧客の要求に応じた多彩な商品展開、また環境配慮素材といった点が高く評価され、従来のファッション、インテリアに加え、近年は自動車内装用途で採用を広げている。なかでも電気自動車の内装用途では、環境配慮(ヴィーガン)の観点から天然皮革の代替商品として、また従来の自動車と比べシンプルかつデザイン性が高まった内装との相性がよく、採用部位も従来のシート材に加え、天井材やドアトリム、インパネなどに広がり、急速に需要が拡大している。今後も自動車生産台数の安定的成長と採用部位の拡大、天然皮革代替需要を背景に、自動車用途を主体として大きく拡大していくことが見込まれることから増強に踏み切った。