東レは、インドのチェンナイ市に新たな水処理研究拠点を開設した。水不足により水処理需要の急速な拡大が見込まれるインド市場において、東レが保有する水処理膜を応用した水処理分野の研究・技術開発を強化していく。
インド工科大学マドラス校(IITM)の産学連携拠点として機能している同校リサーチパーク内に新設し、同校と水処理膜を用いた下水再利用技術に関する共同研究を行う。2023年度上期から商業化を視野に入れた実証も手がける予定。また、東レは、独立行政法人国際協力機構(JICA)の民間連携事業である2020年度第二回「中小企業・SDGsビジネス支援事業~普及・実証・ビジネス化事業(SDGsビジネス支援型)~」に対して「インド国 水処理膜を用いた省エネ型下水再利用浄水システム普及・実証・ビジネス化事業」を提案し、2021年4月に採択された。本事業では、東レのインド水処理研究拠点とIITMとが共同で水処理膜を用いた省エネ型下水再利用浄水システムの実証を通してビジネス展開計画の策定に取り組み、同国への展開促進を目指していく。また、09年に開設したシンガポールの「東レシンガポール水処理研究センター」(Toray Singapore Water Research Center)の研究機能を今回のインド拠点に統合し、アセアン・南アジア地域での事業拡大に向けた研究・技術開発を推進していく。
インドでは全土の約50%が干ばつに直面しており、各地で貯水池や地下水の枯渇が発生、約6億人が深刻な水ストレスにさらされている。人口増加や経済発展を背景に、2030年までに水の需要は供給量の2倍に達し、問題はさらに深刻化すると予想されている。水不足解決は緊急の課題であり、インド各地で水供給のインフラ整備や下廃水再利用の取り組みが進められている。東レは今回の水処理研究拠点の新設を足がかりに、現地のニーズに応える水処理技術・製品の開発力を強化し、急拡大するインド水処理需要に対応していく。同時に、IITMとの強固な連携の下で東レの水処理膜を用いた下水再利用技術の共同研究や実証事業に取り組み、その成果の同国への普及・促進を図ることで、インドの水不足解決に貢献していきたいとしている。