大王製紙とリブドゥコーポレーションの両社は、使用済みの紙おむつから、その構成部材であるパルプやポリマー(高分子吸収体)、プラスチックを分離・回収し、資源として再利用するための共同研究に関し合意した。ともに紙おむつを製造・販売する企業としてメーカーの垣根を越え、持続可能な社会の実現に取り組んでいく。
使用済み紙おむつから構成部材を取り出す技術は、トータルケア・システム(福岡県福岡市)より提供を受け、研究を進める。同社は2005年から福岡県大牟田エコタウン内に設けた「ラブフォレスト大牟田工場」において使用済み紙おむつのリサイクル事業を開始し、水溶化処理によりパルプ、ポリマー、プラスチックを分離・回収するシステムを構築。回収し再生処理したパルプは、建築資材の原料(外壁材、内装材など)として利用しているほか、ポリマーやプラスチックは固形燃料の原料として熱回収をしている。
今回の共同研究では、トータルケア・システムのリサイクル技術をベースに取り出した再生パルプを、大王製紙の技術により紙おむつの原材料であるフラッフパルプやクレープ紙に加工、また、それ以外の構成部材は大王製紙とリブドゥコーポレーション、トータルケア・システムの3社により紙おむつなどの吸収性物品への再利用もめざして検討していく。また、使用済み紙おむつのリサイクル推進に向けて地方自治体や病院、福祉施設といった排出事業者など関係者の協力も得ながらリサイクルフローについて検討を行い、事業化の目処が立てば、使用済み紙おむつのリサイクル処理工場の建設も視野に入れて事業化計画の策定を進めていく。大王製紙は2023年7月から三島工場(愛媛県四国中央市)において紙おむつなどの吸収性物品に使用するフラッフパルプの生産を計画しており、使用済み紙おむつから再生したパルプを自社生産するフラッフパルプに配合することで、建築資材の原料ではなく紙おむつなど吸収性物品への水平リサイクルを進めていく考え。