帝人フロンティアは医療用ガウンにおいて、有事における急激な需要拡大への対応と長期にわたる安定的な供給を図るため、帝人グループにおいて国内最大の事業所となる松山事業所(愛媛県松山市)内に約20億円を投じ、不織布から製品までの一貫生産を可能とする自動化設備を備えた工場を新設することにした。国内一貫生産工場の新設により、医療現場の負担軽減に貢献するとともに、重点事業領域としているヘルスケア分野の成長を加速し、企業価値のさらなる向上を目指す。
帝人フロンティアは、新型コロナウイルス感染症が拡大するなかグローバルな調達機能を活用することにより全社を挙げて、医療従事者をサポートするための医療用ガウンの生産・供給に取り組んでいる。だが、感染が急拡大した局面には、海外からの物資調達が困難になるなどして医療用物資の逼迫が問題となり、とくに大半を海外からの輸入に頼る医療用ガウンは安定供給のためにも国内生産への要請が高まっていた。
新設する一貫工場は、不織布から製品までの一貫生産を可能とする自動化設備を備えた工場となる。不織布製造とラミネート加工から成る生地生産設備および自動縫製設備を設置。縫製工程を自動化することにより、医療用ガウンを縫製する一般的な工場に比べて人員一人当たりの生産性が約7~10倍に高まり、配置人員の少数化を可能にするとともに、人と人との接触を避けた工場運営が可能となることから、昨今のコロナ禍のような有事に際しても生産・供給を継続することができるという。
新設する工場で生産する医療用ガウンは、ポリエステル素材をはじめ、多様な素材の使用に対応したものとなる。ポリエステル素材には環境に配慮したリサイクル原料を使用し、将来的には生産・販売した医療用ガウンを着用後に回収し、製品までリサイクルするシステムの構築を目指す。不織布へのラミネート加工およびシームレス縫製を採用することで、高い防御性能を有するAAMIレベルに準じた医療用ガウンを生産することができる。また、帝人フロンティアの衣料製品製造に関する知見を活用し、着脱しやすく動きやすい形状のガウンを生産していく。
医療用ガウンの生産は今年12月より開始し、22年度に200万着、25年度に600万着を生産する見込み。生産開始後は、帝人フロンティアが医療機関への販売を行うとともに、医療用品販売会社などへの販売も実施していく。